021
iPAL-NEXT
100万アクセス記念
林裕峰作品集3
これまで
iPAL-NEXTでは
京友禅作家でありながら
なぜかモバイル作家でもある
京都が生んだ偉大なる天才にして奇人、
林裕峰先生の作品を
2度にわたって紹介してきた。
最初はこちら。
名作の誉れ高い「高円寺」!
続いてはこちら。
幻の傑作「洛外浮浮浮図」!
そしてこのたび、
3作品目になる先生の作品を
紹介する。
そのキャンバスとなった
デジタル製品はこちら!
ご存知、SONY社のデジタルカメラ
「Cyber-shot
F55V」だ!
それに先生の神の腕が振るわれるとどうなるか?
す
る
と
こうなった!
実はこの作品の撮影にはかなり手こずった。
というのも、
デジカメ自体が作品であるにも関わらず、
その作品であるデジカメを
デジカメで撮影する必要があったからだ。
普通は無理だ!
その事実に気づいた機長は
あまりの自分のオバカぶりに愕然としたが、
素晴らしいアイデアに気づいてそれを実行した。
つまり、
鏡に向かってシャッターを切ったのだ。
これで完璧だ!
そう思った機長はまだアホウだった。
いざ画像を開いてみると
鏡に映ったデジカメは左右逆版になっていた!
右利きのはずの機長の利き腕が
左手になっていたのは
まあ、よしとするにしても、
作品に刻印された「SONY」の文字までが
逆さに映っている。
これは明らかに間抜けだ。
だもんで、もうひと作業行う必要があった。
つまり、画像ソフトで
左右逆転することだった。
その結果、
さきほどの画像が完成した。
さて、
もう一度さきほどの画像を観てもらおう。
この作品には
これまでの2作品には見られない大きな特徴がある。
それは裕峰先生の樹脂アートが
デジカメの筐体を完全に覆いきっていないことだ。
まるで南の海に寄せる波頭のように
樹脂がデジカメ表面の
一部だけを覆っている。
この境界線の美学が非常に心地よい。
まるで最初からそういうデザインであったかのように
そこに先生の世界が
とても自由に活き活きと
自分を表現している。
さらに細かく見てみよう!
いくつかの特徴が見て取れる。
まず、
「滴」という文字から伸びてる矢印の先に
注目して欲しい。
先生が機長のデジカメに刻んだ
わがままな芸術の波頭から
まるで飛沫が飛び散ったように
滴がデジカメ表面に
数ヶ所飛び散っている。
機長がもしもウェイクボーダーなら、
この波頭に飛び込んでしまいたいほどの生命観が、
この数的によって表現されている。
続いて、
「メキシコ貝」と書かれた文字の隣りの
赤い矢印で示された三角形状のものに
注目して欲しい。
ここには「高円寺」においても使われていた
メキシコ貝が使われている。
この貝はとても美しい貝だ。
この貝殻を薄いシール状に細工したものが
細かく切り刻んで散らされている。
この散りざまを見て裕峰マニアならば、
普段の先生の作風と少しばかり違うのではないかと
気づくはずだ。
そう、実はこのメキシコ貝を切り刻み、
樹脂の中に閉じこめたのは先生ではない。
誰あろう、機長自身なのだ。
今回は、これまでの2作品とは違って、
機長の長年の夢でもあったのだが、
先生に目の前でこの作品を作っていただいた。
その際に、
先生の忠実だが、
かなり不器用な助手として機長は
先生の作業を言われるがままに手伝った。
それがこのメキシコ貝シートのカッティングと
その張り込みだったのだ。
この作品では、
メキシコ貝の他にも
21世紀の金箔とも言うべき
「レーザー箔」という
特殊素材も使われている。
上図の黄色い円で囲まれた内部などで
キラキラと輝いている
光の粒子だ。
これは必ずしも先生オリジナルの素材ではない。
京都の古い伝統工芸で
金箔を越える輝きを持った素材として
注目されている新素材なのだ。
普段から先生が強調しているように
先生の作品には
先生の腕前のみならず、
先生が京友禅の世界で触れた
京都伝統芸能の粋が込められている。
さて、
さきほどの画像がずいぶん上に
行ってしまったので、
あらためて貼り込んでみる。
これだ。
これが「小紋」だ。
「小紋」というのは
日本伝統アートの手法のひとつで
小さなアイコン(紋)を
継ぎ目なくつないだ模様とでも言うか…。
上の「小紋」のベースになっているのが
これだ。
裕峰先生はこの画像をベースに特殊な
特殊なエアブラシ用の台紙を作って、
その「小紋」を作品上に
顔料でもって吹きつける。
そして、
ここで使った小紋の基になっているのは
もちろんこれだ!
そう!
「パーム航空」のマークだ。
これを「小紋」として伝統アートの中で
展開してくれたのは
裕峰先生が「私の最高小紋だ!」と
シレっと駄洒落てくれた
もうひとりのアルチザン、
どんべえさんだ。
どんべえさんとは
「あんちゅうもさCLIE」でもおなじみ、
「A-side」の主宰者にして、
裕峰先生の専属小紋作家だ。
その小紋作品については
ここを参照のこと。
そして、ここに
機長の「パーム航空」のマークが
いかにして小紋作品になっていったのかを
説明してくれているページがここにある。
歴史的背景についての説明はここに。
本当にありがたいことだ!
そんな
機長のために作っていただけた小紋が
「ふふふあーと」の「黄蝶」という邪魔者を
はねのけて、ようやく機長自身の元に届いた。
本当にありがたいことだ。
なお、「黄蝶」については
「iPAL1173 黄色い蝶が舞う。」を参照のこと。
さて、こうした伝統と近代技術の
様々な叡知を詰め込んで作られた今回の作品。
しかも!
今回は裕峰先生自らが
目の前でこの作品を作ってくれた!
こんなありがたいことはない!
おかげで、
先生のこんな真剣な表情も見られたし、
こんなお茶目な表情も
目の前で見ることが出来た。
さらには、
作品製作の合間に
飽くことなくお喋りしてくれた楽しいお話の数々。
先生は日頃、
「お客さんの目の前でしか作品を作りたいと思いません」
と語っているが、
こうした先生の表情や言葉まで含めたものが、
先生の作品なのかもしれない。
その感想はひとことでは表現できない。
あえて言うなら、
温かい匠
…なんだろう?
自分で書いておきながら
あんまりよく意味はわからないのだが、
そんな感想を
今回初めて目の前で先生の作品を作ってもらうことによって
機長は感じてしまった。
さて、
最後になったが、
今回の作品にも僭越ながら、
芸術作品らしく
タイトルをつけておきたいと思う。
それが、
デジタル機器に魂を通わせてくれる
裕峰アートへの
せめてもの感謝の気持ちだ。
そこで、こんな名前をつけてみた。
先生がこの作品で表現しようとしたものが
とても「銀河」だとは思えないのだが、
その深い碧の中を舞うPalm
Vx筐体と
キラキラと輝くメキシコ貝のイメージから
なぜだかそんなタイトルが浮かんだ。
ついでに、
さまざまな障害を乗り越えながらも
天空に飛翔しようとするPalmOSデバイスへの
応援の意味も込めて、
笑い抜きでこう名付けてみた。
じゃ。
2001年8月15日
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