Pilot Air Line
PAL041-A便
PALM WARS II
〜帝国の逆襲?〜



98/4/9 night追加版





帝国の逆襲?





まずは反乱軍の勝利?

最初はこの一通のメールから始まった。

Pilot MailingListより


山田です。

3COMはPalm何とか商標問題で
Microsoftを訴えていましたが、
ドイツとフランスで勝ったようですね。
(from PalmPilot Gear)

これでPalm PCという名称は
なくなっていくのでしょうか。
とりあえず Microsoftの横暴が許されなくて、
良かったですね。



この、どこの誰だかわからない
「山田」という人からのメールに続いて、
廣瀬さんの「Pilot/PalmPilot Fan」にも情報が載った。


3COM WINS PALM NAME OVERSEAS
〜3COMが勝訴
「Red Herring Online」

3COMがヨーロッパで訴えを起こした、
MSのPalmPCというネーミングについての訴訟で、
勝訴を勝ち取ったと報じられています。



そこでこれらの記事をそれぞれオリジナルまで辿っていくと、
「Red Herring Online」という聞きなれない
ニュースサイトにたどり着く。

「海の向こうで3Com社がPalmの名を勝ち取った」
(3COM WINS PALM NAME OVERSEAS)


というタイトルの記事の概要だけを拾うと、
だいたいこんな感じ。

概要


かねてから「Palm名称問題」に関して
3Com社はMicrosoft社を訴えていたが、
ドイツとフランスでついに勝訴した。



まずはメデタシメデタシというところ。

この結果、今後どんな影響が出てくるのかは不明だが、
同記事の中で「複数の情報筋」が
Microsoft社は世界規模の展開を考えてPalmPCを改名するのでは?
という観測を語っている。

そうなって貰えるととっても助かる話だが、
まさか天下のMicrosoft社がその新しい名称を
「Balm III」とか「Calm III」にしないだろうな?
「Sauruz」なら許すけど。




妙な記事

ところで、「山田」という人のメールにも出てた
「PalmPilot Gear」には、
「3COM Wins Palm Name Overseas」(4/6/98)
の抜粋記事とともに
「I wonder how Microsoft will react...:-)」(4/7/98)
という記事も載っていた。

これがちょっぴり妙な記事なので気になった。

タイトルだけ見ると、
今度の勝訴でMicrosoft社はどう出るのか?!
ってな感じに聞こえるが、
中身を読むとちょっと妙。

なんと言っても、この記事のメインテーマは
今回の3Com社 vs Microsoft社の裁判の結果ではない。

この記事がなぜか大きく扱っているのは、
この「パイロット航空」でも扱った
3Com社 vs PilotPen社の訴訟問題。

どう考えてもタイムリーとは思えない話題について、
「同社は昨日(つまり4月7日)認めた!」とか
妙に生々しいタイミングで書いている。

概要だけ書こう。

概要


・3Com社がPilotの名前を勝ち取ったはずなのに、
新型機種の名前はなぜPalm IIIなのか
不思議じゃない?

・実はPilotPen社が、
勝手にPilotの名前を使ったことで
3Com社を訴えていたが、
これが示談に達していたからなんだ。

・その結果、3Com社は新製品に
Pilotの名前をつけることが出来なくなった。

・が、PilotPen社は
3Com社の過去の製品の改名までは求めていない。

・ところで、PilotPen社は
PDA用のスタイラスペンまで販売している。

・皮肉なことに、3Com社は現在、
Microsoft社の製品の名称を
「似通っている」という理由で訴えている。

・ところで、3Com社とPilotPen社の示談は
密室的にまとめられたらしい。

・PilotPen社が3Com社を訴えた理由は、
PilotPen社がPilotというブランドを育てるために
多大の資金を費やしてきたからだ。



実際に「昨日(つまり4月7日)」PilotPen社のスポークスマン
Jim Plunkettという人から取材したそうだが、
あんまり目新しい情報はない。

そのほとんどは「Palm騒動」の頃に
機長がまとめた記事でも触れた問題である。

もしかしたら機長の翻訳に問題があるのかもしれないが、
なんかこの文章って妙だ。

【この記事の妙なポイント】

・Palm勝訴のタイミングでなぜPilot訴訟問題なのか?

・Pilot訴訟問題の直前に、
なぜスタイラスペンの話が登場しているのか?

・そしてなぜお金の話で終わっているのか?


機長の英語能力の欠如なのかもしれないが、
ざっと読んだかぎり、
「Palm訴訟で勝ったとか言いながら、
Pilot訴訟ではおんなじことやって負けてるじゃないか?!」
と読める。
これは、機長の被害妄想だろうか?

一番気になるのは「スタイラスペン」の話。
実は機長は「Pilotの歴史(その1)」の取材の時、
この事実に関してはすでに掴んでいた。


ところで、
この年表を作る過程で知ったことだが、
この「株式会社パイロット」さんも
スタイラスペンを発売している。
それがPILOTの発売前だったのか
後だったのかは不明だが、
確かにちょっと紛らわしい。

「Pilotの歴史(その1)」より



だが、大量のボールペンや万年筆と同時に
ほんのちょっぴりPDA用のスタイラスペンを作っている
企業(PilotPen)の名前と
PDAマシン(Pilot/PalmPilot)の名前が似ていることと、
PDAマシンを専門に売っている企業のPDAマシンの名称(PalmPilot)
その機種にそっくりなPDAマシンの総称(PalmPC)とが似ていることを
同次元で論じることは出来ない。

でも、この記事はなぜか(もしかしたら意図的に?)
同次元で論じている。
お金の話まで含めると、やや悪意さえ込めて。

なんか妙だな、と思う。

※【パイロット社のスタイラスペン】


パイロット社のHPには
同社のPDA用スタイラスペンとして、
「パイロット入力ペン・
ぺんとぴあ(Pentopia)」

シリーズというものが紹介されている。

NEC社モバイルギア用の「TC-CEN-1」
カシオ社カシオペア用の「TC-CEC-1」
そして
ボールペン・シャーペンとの共用が可能な
複合筆記具タイプがあるらしい。
ま、どっちにしても、
万年筆・ボールペン・シャーペン、
それぞれについて
8ブランド22シリーズもある
同社のメインストリーム商品の
ラインナップ
に比べると
スタイラスペンの扱いは
絶対的な数が少ない。



だからと言って、
この記事の作者をすぐさま責めるような
器量の狭いことだけはしないつもりだし、
読者にも奨めない。

ぶっちゃけた話、機長の読み方がおかしいのかもしれないし。
実際、記事タイトルの
「I wonder how Microsoft will react...:-)」

「Microsoft社のお手並み拝見?」とも読めるし、
「Microsoft社の反応が楽しみだ」とも取れるし、
まあ、なんとでも解釈出来る内容だから。

そんなちっぽけな、でも妙な記事に
ちょっぴり違和感を感じていた機長の胸騒ぎはその後、
ある現実の形となって帰ってくることになるのだが、
この時点ではそんなことには気づかずに、
ただ妙だな、くらいに思っていた。




Cooper記者の不気味な予言


ところで、今回の事件について、
メジャー誌である「PC Week」はもっと冷静な記事を載せている。

「Microsoft社は「Palm PC」の名前論争から手を引く」
(Microsoft to back down from 'Palm PC' name game)


この記事はまず最初に、
4月6日に、サンフランシスコで開催中の
「Herring on the Enterprise(企業の鰊?)」という会議の席上での、
3Com社のEric Benhamou社長
(この人の名前、どうやって発音するの?誰か教えて!)
「まもなく我々(3Com社とMicrosoft社)は、
Microsoft社が同社のパームトップマシンの
製品シリーズの名称からPalmを取り除く変わりに、
我が社
(3Com社)がMicrosoft社に対して
独・仏・伊三国で提訴してきた商標侵害訴訟を取り下げる
という合意声名をここ2〜3日のうちに取り下げるだろう」

というコメントを極めて冷静に伝えている。

ちょっと気になるのは、記事中で
これらの訴訟のうちのどれかで「勝った」と
一言も書いてないことだが、
そんなことよりも機長が注目するのはこの記事の後半部分だ。

この記事を書いたCharles Cooper記者は
記事のテーマである「名称問題」からやや横道に逸れながら、
ちょっぴり皮肉っぽく以下のように書いている。


(「現状ではパームトップデバイス界の
トップを走る3Com社だが、
同社は自社製品を脅かすような新製品の登場を
なかなか認めたがらないようだ。しかし!」
と前置きした後で)


最新Palm PCマシンを検証した
レビュー記事によれは、
これらはオフラインでウェブページを読むことが出来、
画像を2ビットグレースケールで
表示することが出来る!
にもかかわらず、
Palm Pilotとほぼ同じ大きさと
重さを持っている・・・。

一方、3Com社のパームトップマシンの場合、
同じ機能を実現するためには
専用のサードパーティ製品を用意する必要がある



このCooper記者の警鐘には機長も、やや同感である。

確かに「無駄な機能は搭載しない!」という
Pilotシリーズの誕生以来の鉄則は間違っていない。

だが、PalmPilot Professional Editionで
初めてMailソフトを標準化したように、
明らかに時代は手のひらサイズPDAマシンに
Internetへの窓口を期待し始めている。
そして現に3Com社はPalm Pilot専用のモデムを
販売している。

にもかかわらず!
なぜWebブラウザを標準内蔵化しないのか?
さらに、
実質的な標準コントロールパネル機能である
HackMasterをなぜ標準内蔵化しないのか?
インクワープロ的なソフトや
グレースケールの画像閲覧ソフトもまた同じだ。

なんならProfessionalやPersonalのように
別バージョンを用意したっていい。

どっちにしても、熱烈なユーザの手によって
素晴らしいソフトが開発されるはずだ!という期待と、
熱烈なユーザなら自分たちの手でウェブやCD-ROMから
素晴らしいソフトをダウンロードして
さらにHotSyncでインストールしてくれるはずだ!という期待は、
似ているようだがずいぶんと違う。


この違いに気づいていないと、
MacintoshやNewton、Hanshin Tigersのように
熱烈すぎるファンの手で
Palm Pilotはマニアの玩具に成り下がってしまう。

そんな3Com社への警鐘を鳴らした後で、
Cooper記者は「Microsoft社はノーコメント」という
タイトルの短いコメントを書いている。

その中でMicrosoft社のスポークスウーマンの
こんなコメントを載せている。


(3Com社のBenhamou社長のコメントに関して)

「基本的に、我々に言うべきことはない。
私は個人的に、この問題に関して何も知らないし、
この問題に関して仲間と議論したこともない



なんて不気味なMicrosoft社!

と思っていたら、二日後のPC Weekにこんな記事が載った。




帝国の逆襲が始まる?


John G. Spooner記者によるその記事のタイトルは以下の通り。

「Microsoft社は「palm」の名前を諦めていない!」
(Microsoft still hopes to use 'palm' moniker)


来たよ来たよ!さすがMicrosoft社!
二日前には「仲間と議論したこともない」はずのテーマが
すごい形で帰ってきた。
記事を読むかぎり、この問題に関して
「議論したこともない」のではなく、
「議論するまでもなかった」らしい。

基本的には、
Windows CEの市場開発部門のディレクターである
Jonathan Robertsさんのコメントが主軸になっている
この記事をひとことでまとめると、

概要


Microsoft社は、
Palm PCの「Palm」という単語を
使い続けるつもりで、
Microsoft社と3Com社が友好的な方法で
お互いに「Palm」という名前を
使い続ける道を模索したい。



・・・ということだ。

どうひいき目に見ても、
Microsoft社から売ったケンカに近い今回の論争を、
自らが出血することなく相手の出血だけで
友好的に終結させようというこの意見、凄すぎる。
盗っ人たけだけしいとはお前さんのことだい!と言いたくなる。
まるで、冷静なインテリやくざの脅しみたい。

そこで、
Microsoft社が友好的な和解を導くためにする
「自らの出血」方法にどんなものがあるんだろう?と考えてみる。

つまり、Microsoft社はこの不気味な友好的和解のために、
どんな交換条件を考えているのか?

これまでの歴史の中で
同社が常套的に使ってきた手法を参考にして、
考えられる手っ取り早い解決方法は以下の2つだ。

1)3Com社からPalm Comuputing部門を買い取る

2)3Com社ごと買い取る


Microsoft社が世界に冠たる企業足りえてきた2大戦略、
つまり「パクる」or「買い取る」という2つのうち、
構造的酷似と名称的酷似という2つの「パクる」を
すでに使ってしまった今となっては、
「買い取る」のが一番有効な手段かもしれない。

あとは昨年PC界を騒がせたもうひとつの手法が残っている。
つまり、「エビで鯛を釣る」方式
昨年、Microsoft社は、経営が大ピンチだったApple社に対して、
「経営権のない出資でブラウザ市場およびJAVAを釣る」
という戦略を使った。
(Gatesの、ではなくJobsの提案だったそうだが・・・)

ま、「買い取る」にしても「出資金で釣る方式」にしても、
これを行うためには以下の2つの条件が必要だ。

1)Microsoft社に莫大な資金がある。

2)相手企業の経営がピンチである。


第一の条件は皆さんもご存知のように、
同社にはアラブの石油王も真っ青のお金がある。
ということで条件はぴったりだ。
そして第二の条件もまた、
つい最近のニュースによると、
モデムおよびネットワーク関連の営業失敗により3Com社は
大変な大赤字を計上しているらしい。
ということは、困ったことに
この条件もまたすでに満たされている!

さて、今後どうなるのか?
どうなってしまうのか?
目が離せない、このPalm論争である。

ちなみに、3Com社からの商標侵害論争に関して
Microsoft社は先月こう反論していた。
「Palm PCは商品名ではない。
これはパームトップカテゴリの俗称だ」
と。

もしかしたらPalm Pilot(またはPalm III)は
Palm PCというカテゴリの一種になってしまうかもしれない。
もしくは、Palm PCシリーズのフラッグシップマシンに。

こう考えてくると、
来年の4月1日に、このHPの名称がイタズラじゃなく
「Palm PC汽船」に変わっているなんて未来も、
あながちSFじゃなくなってくる。

PC WeekのCooper記者じゃないが、
機長もこの問題から目が離せない!

単なる名前の戦いだけでなく
本当の意味での戦いとして。



※【参考】


機長より、もうちょっと冷静な意見が、
廣瀬さんの「Pilot/PalmPilot Fan」
4月8日の項目
「Microsoft,Palm PCの名称は
まだ諦めていない」

の中の「私感」に出ている。
機長もまったく賛成なので、参照されたし。
(と、言っても、このページ読んでる人は
当然すでに目を通していると思うが・・・)






98.4.9 night 追加



号外



その後、この事件に関して、
急展開がありました。





里親探しについて





前回の「君はビーケーさんを知っているか?(その4)」の中の
「機長からのお願い〜里親募集〜」でいろいろ書いたせいで、
「輝け!第1回HotSync音楽大賞」の大賞レースを独走中の
やんま〜さんみけさんからそれぞれ
「機長にご迷惑を・・・」というご丁寧なお詫びの言葉を貰った。
機長は逆に申し訳なく思っている。

というのも、悪いのは送ってきてくれたお二人ではなく、
思いつきでコーナーを作ってはみたものの、
いちいちPyrol Hackにスコアを入力して
音楽をいちいち確認すると言う作業に追われて、
身動き出来なくなってしまったわがままな機長の方なので、
お二人に謝られてしまって、
とっても申し訳なく思っている。

この場を借りて、両巨匠にお詫びしたい。

ところで、同時にやんま〜さんより
「うちのHPでやってもいいですよ」という申し出を受けた。
やんま〜さんなら「輝け!第1回HotSync音楽大賞」のことも
ようくご存知なので、もしよろしければ
引き受けて貰えないだろうか?というのが正直な心境だ。

ただし、前にも書いたけど、
PyrolHackが特殊な入手方法を必要とするソフトなので、
果たしてこれからどれくらいの参加者が集まるのか?は、
機長にもよくわからない。

なお、まだ一度も開いてもいないが同じ記事の中で、
jeton空港のRobin管制官から提案のあった
「Datebk3アイコン大賞作品募集」の方も、誰か引き取り手があったら、
是非引き取って実行してもらいたいな、という気持ちはある。
機長もそのページは毎日覗きたいし。
(なんたって、Datebk3ユーザにとっては、
とっても実用的だから)
こっちの里親も、
相変わらず募集しておきます。

ところで、前々回にリリースした機長の
「Datebk3オリジナルアイコン集〜I's bk3 Icons 0.91b」って、
使ってみた人、います?
エラーとか起きてないか心配でもあるので、
もしも使ってみた人がいたら、
こちらの感想も待ってます。



機長への連絡



じゃ。





98年4月9日

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