iPAL-NEXT/LONG COLUMNS
019



SCOOP!

JA-RU社の
ハンドヘルドデバイス


機長はふとしたことから、
まだ日本ではほとんど知られていない
まったく新しいタイプのハンドヘルドデバイスの現物を
入手することが出来た。

このデバイスの提供者は
アメリカ国内のとあるショップでこれを入手したという。

日頃、各種ハンドヘルド情報には
人一倍敏感なつもりの機長でも
今回初めて目にしたデバイスだ。
JA-RU社というコンストラクター名も
正直、今回初めて聞いた。

ま、前置きはともかく、
さっそく現物を観てもらいたい。



筐体のタイプとしては、
驚くほど「Palm Vシリーズ」の筐体と似ている。

正直、これを観た瞬間、
機長も驚いた!

似ているどころか、
自宅にあったPalm Vxと比べてみたところ、
そのサイズは縦横幅ともに、
ほぼ一致した!

11.4cm×7.8cm×1.0cm

ただし、パッと観てもらってわかるように、
このデバイスには視覚的に
Palm Vとは決定的に違う点がいくつかある。

それはまず、
印象的なベネトンカラー風のカラーリングだ。
画像ではかなり純粋な「青色」だが、
現物には「紫色」に限りなく違い色をベースとして、
波形にうねって仕切られた下部は
鮮やかな「イエロー」、
さらに、ハードウェアボタンは
「青色」と「緑色」だ。

そして今、ハードウェアボタンについて
触れたことで、
皆さんも改めて気づかれたように、
ハードウェアボタンのあたりは、
Palm Vとは決定的に違った設計になっている。

もっとも特徴的なのは
やや小さく縦型の楕円をした3つのボタンと、
もっとも右に配された緑色の大きな円形のボタンだ。
まだデバイスを起動していない現状では、
緑色のボタンの大きさと、
完全な円形である点から、
これが上下どころから左右にも動かせる
新しいタイプのボタンではないかと
想像できる。

さらに、もうひとつPalm Vとは
決定的に違う視覚的な特徴として、
筐体の左下には
スピーカーらしきものが見える。
これはいったい?

さらに、筐体の左下には
もうひとつ気になるものが見えている。
そう、筐体の側面に
ポッチのようなものが見える。
これはボタンかレバーのようにも見える。
PalmPilot時代のPalmOSデバイスでは
この位置にパワーボタンがあった。
そう考えるとこれは
新しいパワーボタンなのか?
実際、これ以外に
パワーボタンは見当たらない。
この予想は、案外当たっているのかもしれない。

さらに言うなら、
PalmOSデバイスなら、たいてい濃い緑色をしている
液晶部分が鮮やかなオレンジ色をしている。
これも気になるところだ。
まったく新しい液晶なのか?
それに、液晶部分には
いわゆるグラフィティエリアが見当たらない。
「ホーム」や「メニュー」と言った
シルクボタンも見当たらない。
その替わりに、不思議な黒い横線が走っている。
これはいったい?!
もっとも、グラフィティエリアや
シルクボタンがないのは
他の理由でも説明できる。
たとえば、HandEra社のPalmOSデバイスである
HandEra 330では、
固定のグラフィティエリアを捨てて、
これをソフトウェア的に実現している。
この謎のデバイスも
このような方式をOS内部で実現しているのか、
あるいは、グラフィティ的なものではない
まったく新しい入力システムを実現しているのか?

その後の試用で、
後者であることを知った機長は愕然とすることになるのだが…。

さて、筐体の表面ばかり見つめていても
さっぱりわからないので、
筐体の裏面を観てみることにした。



それがこれだ!

筐体中央部にある半月型の切れ込みや、
筐体下部のシリアルポート両側にある左右2個のポッチなど、
Palm V筐体とそっくりだ。

そして、もっとも酷似しているのは
言わずとしれたシリアルポートだ。
スリットの数もPalm Vと同じ10個!

ここまで来ると、このデバイスが
PalmOS互換機だったりするのでは?
…という期待までしてしまう。

ただ、裏面を観ていて、
Palm Vと決定的に違うのは、
筐体中央やや下の方にある
「JA-RU」社のロゴだ。
これだけPalm Vそっくりに作りながらも
「JA-RU」社のロゴを堂々と配するあたり、
このコンストラクターは
このデバイスにかなりの自信を持っていると
機長は観た!

さて、さきほども、
このデバイスがGraffitiエリアを持っていないことから、
果してこのデバイスは
どんな入力システムを採用しているのか?
という疑問を機長は持っていたのだが、
それについては、
驚くべきことに、
このデバイスの筐体側面(正面から向かって右側)にある
太めの溝には、どう観てもスタイラスとしか
思えないものが突き刺さっている。

それがコレだ。



これはどう観てもスタイラスだ。

鮮やかなライムグリーンのカラーリングのプラスチック棒は、
どこからどう観てもスタイラスだ。

実際、手近にあったPalm V筐体の側面の溝に差し込んでみたら、
ピッタリと突き刺さってしまった。

さらに、Palm Vの電源をONにして
このスタイラスを使ってみると、
しっかりとスタイラスとして機能した。

つまり、
少なくとも
このスタイラスは、
PalmOS互換だ!

さて、いつまでも
この謎のデバイスの周囲で
ウダウダ言っていてもしょうがない。

果してこのデバイスは
どんなOSを持っていて、
どんな入力システムを採用しているのか?
とても気になる!

ところがだ!

さきほども書いたように
このデバイスには電源ボタンらしきものが
見当たらない。
もしかしたら?と思ったら筐体左側面の
ボタンを押してみたが、
まったく反応はなかった。

そこで、唯一のとっかかりとも言うべき、
このスタイラスを
液晶部分を当ててみた。
すると、液晶部分に何か表示が
出かかった。
もしかしたら、
スタイラスを液晶部分にあてがうだけで
電源が入るという
画期的なシステムなのか?

結局、さっぱりわからないままに
このライムグリーンのスタイラスを
オレンジ色の液晶部分で滑らせてみた。

すると!




なんと、電源ボタンもまだ
つけていないというのに、
液晶部分の上でスタイラスを滑らせた結果、
液晶部分に画像が浮かび上がった。

ちょっとわかりづらいかもしれないが、
これは、機長がスタイラスで書いてみた
「機長自身のイラスト」だ。
左上には御丁寧にも「機長」と
漢字で書いてみた。
これらの入力操作を
この謎のデバイスは
電源を入れることもなく受け入れた!

これは、
機長が想像した以上の、
とんでもない未知のデバイスであるらしい!

さて、入力は出来た。

ところが、この後、この画像や文字を削除するための
方法がわからない。

どうしよう?

途方にくれた機長は、
物は試しと、筐体左側側面にある
謎のボタンを触ってみた。
さきほどは電源ボタンかと思って
押してみただけだが、
今度は縦方向にスライドさせてみた。
もしかしたら、ある種のジョグ的なボタンかも、
という想像があったためだ。

そしたら…




筐体左側側面にある謎のボタンを
上方向にスライドさせるだけで、
液晶画面の中で黒いバーがシンクロするように
動き出した。
これはやっぱり、新種のジョグボタンかもしれない。

しかも!

それと同時に、
さきほど入力したばかりの
画像と文字が消え始めたのだ。
こんなデバイス、今まで観たことない!

いったい、このデバイスは?!

そうこうしているうちに、
私にこの謎のデバイスをプレゼントしてくれた友人から、
連絡が入った。
「もう一台入手することが出来た!」
「しかも、今度のは梱包済みのものだ!」

…というのだ。

こうして私の元に届いた
2台目のデバイスがこれだ。



かなりチープな梱包ではあるが、
パッケージ内部にはちゃんと
黒いケースまで入っている!
筐体の下に見える黒いものがそれで、
御丁寧にもパッケージの左には「WITH CASE」という
表示も書いてある。

そして、

驚くべきことに、
今度の筐体は色違いだった。
カラフルなライムグリーンを基調として、
筐体下部は同じくイエローだが、
右端の円形ボタンは青色!
蛍光色が多すぎて目にドギツイほどのカラーリングだ。

そして、このパッケージのおかげで、
新しい情報が次々と入った。



製品名は「Tech Slate」というらしい。

ところで、Slateというのは
日本語に訳すと「石版」という意味だが、
これは「ハイテクの石版」、
つまり、映画「2001年宇宙の旅」に出てきたモノリスを
イメージしているのだろうか?

さらに、この画期的な製品の特徴を
ズバリと言い当てるような
キャッチコピーが3つほど踊っている。

FITS IN HAND!
(手のひらにピッタリ!)

BUILT-IN PEN TOOL
(ペンツールを内蔵!)

SLIDING ERASER
(スライド式の石版ふき!)

さらに、上の画像には
映っていないが、
パッケージの最下段には
メーカーの名前と住所が書いてある。

JA-RU
Jacksonville, FL 32207


この「JA-RU」という会社、
初耳だし、住所がちょっとシンプルすぎるな、
と思ったが
検索ページで調べてみると、
それは実在した。

JA-RU INC.

さらに、パッケージ最下段には
「MADE IN CHINA」の文字も見える。
驚くべきことに、
このデバイスは中国で生産されていたのだ。

そして、パッケージには
もっと驚くべき情報が隠されていた。
上の画像で、パッケージの右上にある
白っぽいシールに注目してもらいたい。
ここには「0.99ドル」という値段が書いてある。
そう!
なんと、このデバイスは1ドルもしないのだ。
日本円にしたところで、
124円!

こんな廉価なハンドヘルドデバイスが
アメリカの市場には
すでに出回っていたらしい。

ところで、

機長にこの謎のデバイス「Tech Slate」を
プレゼントしてくれた男性は
最後にこんなメッセージを寄せてくれた。

「機長さんがこのデバイスをどんな風に思うのか?
気に入ってくれるのか?
気に入らないで捨ててしまうのか?
そこまではわからない。
でも、これだけは言っておきたい。
このデバイスこそ、
本当の「Simply Palm」じゃないかって。
PalmOSデバイスの根幹は、
やっぱりシンプルさなんだってことを
忘れないで欲しい!
たぶん、このJA-RUという会社の社長は、
そんな思いを込めてこの製品を
リリースしたんじゃないかと思う。
さて、最後に、この製品2台分の請求書をつけておこう。
1.98ドル、日本円だと247円だ!」





じゃ。










2001年7月18日


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