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JenちゃんとPalm IIIxe




iPAL1202
JenちゃんとPalm IIIxe

【再録】





 きっかけは、
PDABuzzで見つけた6行ほどの投稿記事だった。

  ■Palm IIIxe connects girl with classroom
(PDA Buzz)
May 14, 2001 - 2:16 PM EDT

 記事タイトルを直訳すると
「Palm IIIxeが少女を教室に接続した」

…なんじゃ、こりゃ?っと思って読み始めてみると、
それは「とある素晴らしく心温まる記事」への
招待状らしいことがわかった。

この6行ほどの短い記事は、こんな一文で終わっている。

 「このマシン(PalmOSマシン)
いかに素晴らしいものであるか?
…そんなことはこれっぽっちも意識せずに、
僕は毎日このマシンを使っている。
つまり、ある種の特別な人たちにとって
このマシンがいかに素晴らしいものなのかについて、
普段の僕はまったく気にもとめていない。
だから、そんなことを思い出させてくれる
この種の話が、僕は大好きだ」

 と、ここまでフラれたら、
「この種の話」を読まなければなるまい!
…だって、機長もこの投稿者とまったく同じ気分で、
つまり、自分以外の人間にとってPalmOSマシンが
どれほど素晴らしいものなのか?…なんてことには、
これっぽっちも気を回したことなどないから。
そんな機長でも大好きになれる話なら、
読まねばなるまい。
(別に、読者にまでそれを強制するつもりはないが…)

 
さて、前述の投稿記事で紹介されていた、
肝心の「この種の話」とはコレのことだった。

■Palm Pilot Connects Girl with Classroom
(MDA Publications"QUEST")
(以下は概要だ)

 このお話の主人公は、
ニューヨークに住むJennifer Rossmanという10歳の少女だ。
ニックネームはJenちゃん

彼女は、呼吸系の感染症のために
学校には行けず自宅で勉強をしている。
そんなある日、彼女のパパが一台のPalm IIIxeを買ってきた。
ほどなく、この小さな手のひらサイズのマシンは、
Jenちゃんの大のお気に入りになった。
物語はここから始まる。

やがて、Jenちゃんのパパはインターネット上で、
このPalm IIIxeのための「あるフリーウェアソフト」を見つけ、
そしてダウンロードし、娘のPalm IIIxeにインストールした。
それは、Palmを使って、
PCのマウスやキーボードやモニタを
コントロールすることが出来るソフトウェアだった。
ほどなくしてJenちゃんは、
このパパが見つけてきたソフトウェアを使って、
自分自身でインターネットに接続してウェブブラウジングしたり、
電子メールを送ることが出来るようになった。
生まれて始めてJenちゃんは
インターネットの世界に一人で飛び立つことが出来た。



ここでひとつの疑問が残る。

記事中の文章では詳しく語られていないが、
なにゆえJenちゃんがPCではなくPalm IIIxeによって
インターネットへの扉を初めて開くことになったのか?
という疑問だ。

…実は、彼女は筋ジストロフィーという病気を患っており、
そんな彼女の筋肉にとって、
あまりにも大きな力と動作を必要とする、
いわゆるPC用のキーボードやマウスを使うことが彼女には、
とても難しかったのだ。
(Jenちゃんの具体的な病名については
ココにある
Jenの父親・Drew Rossmanさんからのコメントに書いてある)



とにかく、PalmからPCを完全操作出来るこのソフトのおかげで、
Jenちゃんはインターネットへの扉を自らの手で開き、
それまでずっと自宅で一人きりの勉強を続けてきた彼女だったが、
これによって、地元の小学校に通う同年齢の子供たちと
規則的に電子メールで交信しあえるようになった。

病気のためにずっと自宅生活を強いられてきたJenちゃと
学校とを結びつけてくれたこの夢のソフト
「RemoteCommander」
もともと、カーネギー・メロン大学にある
「人間とコンピュータの相互作用研究所
(Human Computer Interaction Institute)」
の所員である
Brad A. Myersさんによって、
「ミーティングの際に複数の所員が一台のPCを共有するため」に
開発されたものだった。
具体的には、Palm用とPC用、
2つのソフトをそれぞれのマシンにインストールすれば、
本来PC用のマウスとキーボードによって出来るすべてのPC操作を、
Palm上から実行できるというものだった。

そんなソフトウェアのおかげで、
Jenちゃんは新しい世界を知り、
新しいお友達と出会うことが出来るようになった。
…というのがこのお話のすべてだ。

つまり、Jenちゃんの小さな手のひら(Palm)が、
より大きなマシン(PC)を動かして、
ついには彼女に、
それまで出会ったことのない広大な世界(Internet)と、
新しいお友達(school mate)を連れてきた。
彼女の手のひらはPalmを通して、
ついに世界に触れることが出来た。

世界中に膨大に溢れているソフト群から
自分好みのソフトウェアを選んで来て、
それをインストールするだけで、
「Palm」はすべての人に、
「それぞれの使い方と新しい目的」を与えてくれる。
Palmとは、そんな「夢の手のひら」だ






最後に…

途中でも紹介した、
Jenちゃんの父親・Drew Rossmanさん
「RemoteCommander」について寄せた推薦文についても、
紹介しておきたいと思う。
(以下は概要だ)

「私は皆さんに二つのことをお願いしたいと思っています。
ひとつは、筋ジストロフィーという病気のために
動きがかなり制約されている娘Jenにとって、
この「RemoteCommander」がどれほど役に立ってくれているのか?
ということを知ってもらいたいのです。
もうひとつは、娘と同じような
ハンディキャップを背負った人々にとって
このソフトがいかに素晴らしい役割を果たしてくれるかについて、
出来るだけ多くの人に伝えてもらいたい、
ということです。」


…う〜ん、
そんなJenちゃんと同じPalmOSマシンを使っていることが
ちょっぴり嬉しかったりする、
そんなお調子者の機長だ。

ところで、機長の英語読解力はかなり酷いものだ。
だから、上記の文章をそのまま鵜呑みにするよりは、
それぞれの記事や文章の原文を実際に読まれることをお薦めする。













じゃ。




2001年5月17日


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