天空詩人作品集


written by 天空詩人


D・A・N・G・A・N



ズギューン!
都会の夜に弾丸を一発
腐り切った大人達が逃げる



ドギューン!
学校の窓に弾丸を一発
偏差値しか見えない教師たちが逃げる



バギューン!
国会議事堂に弾丸を一発
金しか見えない政治家たちが逃げる



俺は孤独なテロリスト
涙を忘れた弾丸野郎



だけどアイツは冷たくて
俺の前から Say Goodbye



俺は泣かない 俺は泣かないテロリスト
泣いてたまるか アイツのことを
思い出すたび泣けてくる 悲しいね



Say Long Long Goodbye
アイツの思い出を抱き締めたまま
俺は今夜も引き金を引くのさ
ロンリー ロンリー テロリスト フォーエバー





天空詩人さん

♂・フリーター(兵庫県)


かつては仲間とポエムの同人誌を作ってらっしゃいましたが、最近はお休み中だそうです。ちょっと残念です。

comment
「私のような若輩者の作品をこんなにも大層に扱っていただき、こそばゆいやら、恥ずかしいやら」
   


選者のコメント

いきなり尾崎豊さんっぽい熱い言葉がほとばしる前半部分が印象的だ。

最初このポエムを読んだ時、この人の作風、変わったのかなと思った。

実際、
「ズギューン!」とか「ドギューン!」とか今まであまり使ってこなかった擬音も目立つ。

この前半部分を読む限り、作者は現代社会の矛盾だか何かに激しい怒りを覚えて、かなり興奮しているらしいことがわかる。

だから、今回こそはこのまま突っ走るのかと思った。

ところが、
「俺は孤独なテロリスト」に続いて、突如、とても不可思議な言葉が何かの不吉な前兆のように登場する。その言葉とは・・・

「涙を忘れた弾丸野郎」

・・・たぶん文法的には間違っていないようだがかなり妙な言葉だ。とくに最後の「弾丸野郎」が気にかかる。そう思った途端に、この作者特有の不思議な転調が登場する。

「だけどアイツは冷たくて、俺の前から Say Goodbye」

・・・現代社会への怒りはどこに行ってしまったのか?

そんなツッコミを入れたくなるような、見事な(もしくは訳の分からない)うっちゃりだ。どうやら作者は失恋したらしい。

ここからは前半の尾崎節を忘れてしまったかのように、天空詩人ワールドの必須アイテム、七五調のムード演歌の世界が始まる。

「泣いてたまるか アイツのことを 思い出すたび泣けてくる 悲しいね」

・・・完全にイッちゃってる。最後の「悲しいね」という台詞が妙に悲しい。

そして
「アイツの思い出を抱きしめたまま」から始まる最後のブロックはかなり混乱している。

「ロンリー ロンリー テロリスト フォーエバー」

・・・その直前に
「俺は今夜も引き金を引くのさ」と書いてるところを見ると、彼(=主人公=作者)はまだテロリストのようだ。ところが、彼は「ロンリー ロンリーテロリストフォーエバー(=さらば孤独なテロリスト)と書いている。どういう意味なのか?テロリストを辞めてしまうということなのか?だとすると、その原因は失恋?それとも失恋の後の大泣き?

このポエム、天空詩人の作品の中ではもっとも骨太で、もっとも惨めったらしいポエムだ。どっちなんだ?というより、この人はいつも混乱している。よく言えば、作風がカオスしている。ところで、作風がカオスってどういう意味なんだろう?