その他の詩人たち




written by 赤いヒール


うふふ気分



もしかして私、恋をしているの?
ふっと思ったわ、オープンカフェのテーブルの上で



空気の色がほんのりピンク
ゆうべ食べたご飯のおかずも思い出せない
そんな私はうふふ気分



私の前には夜なんて来ない
毎日が日曜日それもお昼なの



なんて素敵なのこの恋、この声、このからだ
ピクピク、ピクピク、心臓の音までうふふ気分
聞こえる?



聞こえないなら聞いて欲しい
みんなに届け、私の心臓の音
ピクピク、ピクピク



だって私はうふふ気分




赤いヒールさん
♀・専門学校生(奈良県)

日記のついでに一カ月にひとつかふたつはポエムをお作りになってるそうです。非常にご丁寧なお手紙までいただきました。

comment
「最初このお話をお伺いした時は、正直悩みました。『困ったポエム』という扱いがまず引っかかりました。私は詩人としては素人ですが、ひとつひとつの作品に関して、非常に真剣な気持ちで創作してるつもりです。決して人を困らせるために作っているわけではありません。ですが、しばらく考えた末に、作品は作者の手を離れた瞬間から自由の身であり(それはまさに大空に放たれた小鳥のように!)、どのように解釈されようとそれは甘んじて受けるべきものであり、そう考えた末に今回のお話をお引受けすることにしました」


選者のコメント

最初は甘ったれたポエムかな、と思ったが、さすがに心臓の音まで持ちだされてしまうと脱帽するしかない。これまで愛や恋を謳ったポエムは五万とあるが、恋する心臓の音を「ぴくぴく」と表現したポエマーはいなかったのではないだろうか?

しかも、「聞こえないなら聞いて欲しいみんなに届け、私の心臓の音ピクピク、ピクピク」と、自分の恋する鼓動をみんなに聞かせようとさえしている。迷惑な反面、ちょっと聴いてみたくもある。

それにしても、人は恋をすると、どうしてこうもはた迷惑なポエムを書いてしまうのだろう?
    
もしかしたら、恋の数だけ「困ったポエム」は存在するのかもしれない。

【追伸】
ところで、ご本人のコメントの中にある
「それはまさに大空に放たれた小鳥のように!」って一節、凄いですね。なんかこの言葉、絶対大声で歌い上げないと似合わないような・・・。その姿を想像すると・・・土下座したくなります。