PAL050-A便
三代目の実力
(その1)



98/5/7改訂版



【パーサーからの訂正報告】


今回の記事「三代目の実力」は
改定する場所がとても多かったので
いつもとは違って、
全面書き換えを行いました。
追加したテキストや画像も多々あります。

(機長代理)パーサー







Palm IIIがうちにやってきた!





ちょっぴり遅くなってしまったが、
待ちに待ったPalm III
機長のコックピット(自宅)にやってきたのは
先週のことだった。

本当はすべての主要ソフトが対応するまで待っておこう!
・・・そう思っていたが、
CyberianOutpost
ウロチョロしているうちに
衝動的に買ってしまった。

それが、Palm III発売直後の4月20日月曜日。

そして、24日金曜日にはDHLのオジサン(未確認)が
我が家にPalm IIIの箱を持ってやってきた。
ただし、機長は入浴中だったので、実際に機長の手に届いたのは、
週末を挟んで、オーダーからおよそ一週間後の27日、月曜日。

さて、そんな機長のもとにやってきた
Palm III君の第一印象は・・・?

※【CyberianOutpost】


機長が贔屓にしている
インターネット上のパソコンショップ。
やや値段は高めだが、安全&速い!



1



薄くなった

これまでにも多くの人が書いているように、
実はPalm IIIと先代のPalm Pilotは、
実寸上はほとんど変わってなかったりする。
だから、あくまで視覚上のマジックにすぎないのだが、
明らかに薄くなったように感じる。

ネタばらしをすると、
無用な「角(かど)」を捨て去ったデザインのために
異常に薄っぺらに見えるだけだったりする。(下図参照)

でも、これは大成功だ。
そして、もっとも大事なことは
「角」が取れたということは視覚上のマジック以上の効果を
実はこのマシンに与えている。
その効果とは・・・?



つまり、狭いポケットにも入れやすい!(下図参照)




2



めでたい扇型

お尻部分が3mm程度「くびれ」て細くなったかわりに、
頭の部分は新設された備え付けカバーのために、
2mm程度広がっている。

やや頭でっかちな印象。
日本ではこれを扇型と呼んで、
古来より「末広がりな」おめでたい形としいる。

しかも、この扇型のせいで、
実はカバーのせいで旧版よりも2mm程度広がったはずの
頭の部分の横幅がそれほど気にならなくなっている。

そして何より、
この頭でっかちの扇型というシェイプは、
その厚さのマジック同様、
Palm IIIが誕生以来背負っている
「胸ポケットに入るコンピュータ」というテーマを
これまで以上に明確に実践していることになる。

つまり、胸ポケットでの出し入れが
物理的に非常に容易になった!
(下図参照)



実際、(備え付けカバーの横幅のために)
旧版よりもわずか2mm程度広がった頭部分の横幅も、
ワイシャツの胸ポケットサイズを
計算し尽くした上の寸法だったらしく、
胸ポケットに入れる際に、
まったく邪魔にならない!


3



備え付けカバー

そして、備え付けカバーがついたことの意味は大きい。

この結果、これまでのように液晶画面を守るための
Wrap的な存在が必要なくなった。

一部のサードパーティ製カバーを除けば、
これらWrapの類は表と裏から
各1mm程度の厚さで本体を覆っていた。

この両面合わせて2mm程度の厚さのロスが、
この備え付けカバーの厚さ(0.8mm程度)だけですむ。
これだけでも厚さ1.2mmのアドバンテージだ!
(下図参照)



この「胸ポケットのためのPDAマシン」の真骨頂は
本体のサイドシルエットにその強烈な意志を覗かせている。

つまり、備え付けカバー末端にある「めくりのための遊び部分」と、
HotSync用のカバー部分を除いて、
このマシンのサイドシルエットは
胸ポケットの底に向けて、美しい流線型を描いている。

Palm IIIはまさに、
胸ポケットの中に飛び込むためのマシンだ!


と、ここまでが、
Palm IIIに新たについた備え付けカバーへの
賛辞の言葉。

ところが、この備え付けカバーには、
やや不自然なところがある。

その第1が角度の問題!

全閉じ状態からカバーを開いていくと、
2段階のストッパーがついていることに気づく。

その「第1ストッパー」は、およそ仰角100度の位置。

このポジションで机なんかにおくと、
いかにも不自然な角度だ。
(下図参照)



かつてWrapのマジックテープが妙な位置でユーザの視界を
惑わせるように揺れていたのに似て
異様な位置でカバーは止まっている。

液晶画面のテカリ防止がその目的だったにしても
ちょっとこの角度は・・・。

この角度の正当性をあえて強引に考えてみると、こんな感じだ。

1)カバー裏に「Graffitiシール」を貼った場合に見やすい。

2)真正面に対面で座っている人間を威嚇する。


・・・等が考えるが、なんとも不自然な感じを
完全にぬぐい去ることは出来ない。

どうせなら180度までガバッと開いてくれた方が
自然だったような気がしてしょうがないのだが・・・。

この、かなり摩擦の強い「第1ストッパー」を超えたカバーが
次に止まるのが「第2ストッパー」である。
仰角、およそ225度。
(下図参照)



この角度の意味を見つけるのは、
「第1ストッパー」の角度の意味を見つけることよりも
はるかに難しい。

あえて意味を見つけると、
「これ以上開いても意味ないから、
まあこの辺で止めとくね」・・・くらいのことか?

ただし、
この「第2ストッパー」には長所こそないが、短所がある。

というのも、この状態だと、本体裏面についた
新スタイラスペンを取りだすことが出来ないのだ。

(本体に収納された新スタイルのペン尻部分にある
尾ひれ部分がまさにちょうど第2ストッパー地点で止まった
備え付けカバーのためにひっかかってしまう。)


つまり、理由は不明だが、
見事なほどの正確さでこの「第2ストッパー」で停止した
備え付けカバーは新スタイラスペンが
収納されている本体から外界に飛びだすことを妨げてしまう。
まさに目の上のタンコブ状態で。

というわけで、Palm IIIにおいては、
連続動作でスタイラスペンをとりだす場合、
(1)カバー全閉じ状態で取りだしておくか、
(2)第1ストッパー状態で取りだしておかないと、
大変なことになってしまう。
ま、大変なこと、とは言っても、
スタイラスペンが取れなくなるよ、ってことだけなんだが。

98.5.7追加




参考=パーム航空認定「Palm IIIの公式起動連続動作」



4



液晶画面

さて、備え付けカバーについては、
85%嬉しくて15%ほど謎が残るって感じだが、
Palm IIIの液晶画面については
第一印象として、
ややグリーン度合いが増して、
視認性がいくぶん良くなった
・・・ような気がする。

そしてそれ以上に、素晴らしく進化しているのが、
液晶画面のタッチ認識度だ!

とくにGraffitiエリアの敏感さは
かなりの成長を見せている。
触れば答える、というか、
これまで使っていたPalm Pilotなら
一文字一文字祈りを込めながら書いていたものが
とっても軽快な筆圧で書けるようになった。

これは素敵だ。
とくに、本体を垂直に近い状態にして入力する時に
この敏感さの最大の恩恵を受けられるようになった。

この、液晶画面の敏感さだけでも
Palm IIIに乗り換える価値がある!


(少なくとも、これまで機長が使っていたPalm OS 2.0.4
×Palm Pilot Proffesional環境とは雲泥の差を感じる)



5



新スタイラスペン

ところで、さっきもやや触れた新スタイラスペンについて。

これまでのPILOT/Palm Pilotに標準でついていた、
「プラモデル部品の余りで作ってみました」
・・・みたいな貧相なスタイラスペンに比べると、
まず見た目からして豪華感を漂わせている。



ペン先ペン尻は塩化ビニル系素材、
中央の握り軸は鋼系素材という組み合わせによって、
重量感と軽やかな筆先感を同時に演出しているのも素晴らしい。

さらに、ペン先部分とペン尻部分は握り軸の鋼部分に
ネジ込みで固定されているわけだが、
ここにはある、秘密が隠されている!

ペン尻部分をグルグルとネジリ開けると、
そこには直径0.7mm×長さ8mmほどの
塩化ビニル系素材のがついている。

ちょうど、シャーペンのお尻を開けると出てくる
消しゴムや芯詰り時の緊急針のような感じ。

この塩化ビニル系素材のが実は、
大切な意味を持っている。



Palm IIIになって変更されたデザインのひとつに、
本体裏のリセットスイッチがある。

これまでのPILOT/PalmPilotでは、
市販の書類クリップを差し込んで突き刺すと
ちょうどいい感じの穴が開いていた。

だから、機長なんかもWrap2のポケットに
いつもねじ曲げた書類クリップを挟んでいたものだが、
Palm IIIになってこのリセットスイッチの穴が
一回りほど小さくなったために事情は大きく変わった。
(下図参照)



その結果、街場で売ってる普通の書類クリップでは
Palm IIIのリセットスイッチの穴に差し込むことが出来ない。

コンパスの針ぐらい細いものじゃないと!
それくらにPalm IIIのリセットスイッチの穴は小さい。

そんな時に便利なのが
先程の新スタイラスの中の仕込み針である。
これのサイズがピッタリ!
新リセットスイッチの穴に合わせてある。

これで、クリップがなくても、
いつでもどこでもリセットが出来る!
もっとも、そんなにしょっちゅう
リセットなんかしたくはないのだが・・・。


6

CradleとHotSync

これまで何度も言われてきたことだが、
新型Cradleの最大の改良は
その曲線を意識したデザインよりも、
HotSyncボタンをこれまでの
水平押しから垂直押しに切り替えたことである。

この結果、
これまでならPalm Pilot+Cradleの重量が軽いために、
HotSyncボタンを押したはずが、
Cradleを水平に動かしただけ、
なんてことも多く、そのために
「HotSyncボタンを押す時は後ろから手を添える!」
のが機長が決めたHotSyncに失敗しないための
ルールのひとつだった。



上図のように、水平押しボタンは
押し方に少しばかりコツが必要だった。
でないと、ボタンを押すたびCradleは
奥へ奥へと逃げていく。

こうした不安は
少なくとも、垂直押しボタンになったことで、
すっかり解消された。



と、同時に、これまでは
「無駄な部品を使わない」という
PILOT/PalmPilotの象徴的な要素として
妙な評価をされながらも、
多くのユーザに「本当にこんなむき出し大丈夫なんだろうか?」
と漠然とした不安を抱かせていた、
本体側のむき出し電極部分
今回からバネ式の収納扉の影に隠れるようになった。
(下図参照)





Palm IIIになって自動開閉式になった!

Palm IIIの電極部分は、まるで照れ屋の女の子みたいに、
必要がなければ人様に顔を見せないように隠れてしまう。



ある意味、ホッと出来る設計だ。
Palm IIIになってやっと、
履き忘れていたパンツを履いたような気分。

さて、新型Cradleと旧型Cradleの互換性についても触れておく。

あくまで機長の個人的な実験結果だが。

旧型Cradle

vs

Palm Pilot


当然HotSyncは可能である。
    

旧型Cradle

vs

Palm III


本体お尻部分の形状の変化と、
電極が収納式になったために、
 これでHotSyncをするためには、
ちょっとしたコツがいりそうだ。
電極がピッタリとはまるまで
押し込んでやる必要があるみたいだ。
ただし、機長の実験では、
物理的な形状の違いによる無理が祟ったのか、HotSync途中で
 接続が途切れてしまった。
さらに慎重を期して、
ずっと両手で押さえておくぐらいの
フォローが必要かもしれない。
      

新型Cradle

vs

Palm III


当然HotSyncは可能である。
    

新型Cradle

vs

Palm Pilot

×


ダメ。
新型Cradleの電極部分付近のプラスチック構造が
無駄な曲線を持っているために、
直線重視のPalm Pilotのお尻デザインの
厚みを受け付けてくれない。
というわけで、機長の実験では
一度も成功することが出来なかった。
    


  

7



電池ボックス

Wrap的なカバーの必要性がなくなった分だけ、
本体裏面の電池ボックスの果たす役割は大きくなった。
これまでのようなちゃちな構造だと、
何かの拍子に電池が飛び出してしまう可能性があった。

で、その辺のことは
今回のPalm IIIではしっかりと考えてあって、
これまでのPILOT/PalmPilotの
「日曜大工で作った台所のスライド式床下収納扉みたいな蓋」から、
「いわゆる世界標準の電池ボックスタイプの蓋」がついた。
(下図参照)



おまけに、これまで
「取りだしにくさと、電池切れの恐怖」に脅えながらやっていた
電池交換の恐怖からユーザを開放するべく、
これまた世界標準の
「電池をすっきり取りだすためのリボン」がついた。
ほら、目覚まし時計の電池ボックスなんか入ってるでしょ?
リボンを引っ張るとスルスルと電池が取りだせる、
アイツだ、アイツ!

さらにさらに、個体差もあるだろうが、
電池収納部の深さがわずかに増してくれたおかげで、
中のバネが飛び出して蓋を閉まらなくさせるという、
機長のPalm Pilotで頻発したマヌケな事件が
起こる可能性がなくなった。
機長はこれが一番嬉しかったりする。


8



輝度メモリ

ハードカバーとの戦いでボロボロになったり、
ふとしたきっかけで最大値から最小値にメモリが動いてしまって
めちゃくちゃ焦った!
・・・なんて事件を頻発させてきた輝度メモリが、
外部からの影響が受けにくい控えめな場所に移動した。
メモリ自体も強度を増しているので
ポケットの中でいつのまにかメモリが
動いてしまうという悲劇はまず起こらなくなった。
(下図参照)



9



6つのボタン

本体正面の液晶の下には、おなじみのボタンが並んでいる。

左から、Power、Datebook、Address、
Up/Down、Todo、Memoの6つ。

Palm Pilotから最大の変更は、
UpボタンとDonwボタンが
双子の兄弟星みたいに一体化
したこと。
これはなかなかいい感じだ。
多少の慣れは必要かもしれないが。

Up/Downボタンだけでなく、
すべてのボタンの形状もほんの少し変更された。

日本人の指にはとくに問題はないと思われるが、
これまで非常に小形の円形をしていた
Datebook、Address、Todo、Memoの4つのボタンの形状が
横幅はそのままに縦幅を伸ばした楕円形になった。

さらに、Powerボタンは、
横幅を狭くしてその代わり、やっぱり縦幅を伸ばしている。

これらはやっぱり外人の指サイズを
考慮したバージョンアップと思われる。
が、日本人の指にとっても嬉しいといえば嬉しい改変だ。



それと、見た目ではわからないが、
これらすべてのボタンの内部バネが
かなり強力なものになった。

どういうことかというと、
これまでより明らかに強い力で
プッシュしないとボタンは反応してくれない。

原則的には、これもいいことだと思う。

ポケットのためのマシンなんだから、
これぐらいのシールドがないと、
ポケットの中でしょっちゅう、
パワーのON/OFFを繰り返してしまうことになるから。


10



ビーム

本体裏面のてっぺんに
ビームの発射窓がついている。
今のところ、機長には関係のない機能だが・・・。
いつか楽しいことが出来そうで、
ちょぴりドキドキワクワクしている。







以上が、Palm IIIを手にして、
そしてしばらく
遊んでみた後の感想である。

機長はかつて、Palm Pilotを初めて手にした時、
それまで使っていたZaurus PI-8000から
Palm Pilotに乗り換えるために
約一ヶ月間の以降準備期間を設けた。

というのも、万一、新しいPDAを持って外に飛びだしてから
何らかの操作ミスによりデータが消失してしまった場合、
取り返しのつかない自体になる!
そういう不安があったからだ。

そこで、今回もまた
「仕事場デビューは完全を期してから!」
のつもりだった。

また、完璧な習熟および
主要ソフトの対応を待ってからの
Palm IIIの仕事場デビューを考えていた。

ところが、5月1日未明!


その2につづく





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